今日はFootball Capital(ACT州サッカー協会)主催のコーチングカンファレンスに参加してきました。
基本的にはコーチングライセンスを更新するために必要なポイントを取得することが目的なのですが、私は現在コーチングライセンス取得の途中なのでポイントは必要ないのですが、テクニカルダイレクターがサッカー協会にウチのクラブのやる気を見せるためにできるだけ参加してほしいとのことだったので、1万円近い参加費を払い参加してきました。
参加したもう一つの理由として、オーストラリアに来て以来、オーストラリアサッカーに対する大きな危機感を抱いており、そこに対するサッカー協会のアプローチに大変興味があったためです。
講習の主な内容は
- 近年のゴールパターンの分析
- 若年層の選手育成
- 練習のプランニング
現代社会では情報の地域格差というのはないに等しいと思うので、ドイツであれスペインであり、日本であれ同じテーマであれば内容はほぼ同じものになると思います。
賛成できない点はたくさんあったのですが、特に気になったのは「サッカーへ専念する年齢の若年化に対する問題提起」です。
まず、オーストラリアは様々なスポーツに人気が分散しており、サッカーは冬のスポーツという認識で夏の間は他のスポーツをする選手が多いです。
そういった状況でサッカー協会の提案が「15歳までの複数競技の奨励」だったのは驚きでした。
ちなみにここでは、グラスルーツではなく「どうしたら世界レベルの選手を輩出できるか」がテーマです。
ゴールデンエイジ(11歳くらい)までは複数競技をすることが有益であることは認識していますし、賛成です。ただし、13歳~15歳までとなると疑問が浮かびます。
協会側が根拠として示したのは、シドニー大学の学生のリサーチです。
「ヨーロッパの選手を調べた所、15歳までは複数のスポーツをしている」ということだったのですが、どのクラブのデータで、どのくらいの割合かが明かされていませんでした。
まず、ヨーロッパでプロ選手になるようなプレーヤーが本当に15歳という年齢まで複数競技をしているのか?(Bライセンス時にプレゼンで発表するためにネットで調べたときはバイエルン・ミュンヘンはU14から週5日練習をしているとの調査結果を見ました)
そして、複数競技している場合、サッカーの練習時間はどれくらいなのか?
という点が疑問として残りました。
もちろん、サッカーの練習時間が十分に行われているのであれば、空いてる時間に別のスポーツすることは体力の消費がなければ有益ではあるかとは思いますが、そもそもオーストラリアはU12以降の練習時間が圧倒的に不足しています。(オフシーズンが4ヶ月以上。シーズン中は多くて週3回)
個人的にはこの「練習不足」が一番の問題だと感じています。
もちろん、研究をしたわけではないので根拠があるわけではありませんが、必要であれば肯定するデータを持ってくること難しくはないと思います。
複数競技のメリットは、ざっくり言えば「コーディネーション能力が上がること」です。
講師の人も指摘していましたが、現代の子供は外で遊ばないので練習以外では身体を動かさないのでコーディネーション能力に問題を抱えているのは事実です。
であれば、複数競技を薦めるのではなくジュニア年代での練習でサッカー以外のアクティビティを導入すること推奨するべきです。
なにより、1日のコースだったからかもしれませんが、サッカー協会が大事な方針を示す根拠に詳細を示さず、一学生のデータを引用したというところに疑問を感じました。
クーバー・コーチングで有名なトム・バイヤーは、オーストラリアのグラスルーツレベルでの技術レベルの低さは危機的状況にあると述べ、協会の対応に問題提起をしている記事を見ました。
まぁ外国人としては問題提起をすることしかできないので、なんとか今シーズン結果を出して多くの人に耳を傾けてもらえるように頑張るしかありません。